オンライン診療(遠隔 診療)で通院負担軽減をはかる。かかりつけ医が行うオンライン診療の実態

数尾診療所
数尾 展 院長/内科・在宅診療

かかりつけ医として、地域医療で中心的な役割を担う診療所でもオンライン診療を実施するケースが増えてきました。 特に、慢性期の患者さんについては通院負担も大きく、継続して治療に向き合っていただくための解決策としてオンライン診療は注目されています。 ここでは、大阪府藤井寺市のかかりつけ医としてオンライン診療に取り組んでおられる数尾診療所の数尾展先生にお話を伺いました。

ー貴院でオンライン診療(遠隔 診療)を導入したきっかけを教えてください。

もともと、オンライン診療が保険診療でも使えるようになったのはニュースなどで知っていました。
当院でも実施しようと考えたきっかけは、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが増えてきたことですね。
睡眠時無呼吸症候群の治療では、CPAPと呼ばれるマスク型の機械を装着し、円滑な睡眠を促しますが、定期的な診察がオンラインでも認められています。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは若い方が多く、仕事などもあって定期的な通院が難しいです。睡眠時無呼吸症候群は治療脱落率が高い事が知られており、それならと思ってはじめました。

また、遠方の方にも実施しています。遠方の方には90日処方等を行う事がよくあると思いますが、特にご高齢の方等は「月に1回は先生の顔を見たい」と仰ってくださるんですよね。
コロナウイルスの感染リスク等の観点から、遠方の方に頻回にお越しいただくのも怖いと考えていたため、オンライン診療をご提案しました。
テレビ電話でお話ししましょうか、というと非常に喜んでくださいますし、お仕事でお忙しいご家族の方も同席する事が可能なので、大変助かっています。

ーどのような方にオンライン診療(遠隔 診療)を実施されているのでしょうか?

先程申し上げた通り、睡眠時無呼吸症候群の方に行うことが多いです。
あとは、遠方にお住いのご高齢の方や、出産直後の若い方にも実施しています。
ご希望のある方や、定期的な診察がおつらそうな方にご提案をして実施していくような流れです。

現在は再診の方のみオンライン診療を実施しています。
初診では、特に発熱外来等でオンライン診療のご要望があるかもしれませんが、私たちは実施していません。
今、大阪はコロナウイルスが非常に広がっており、発熱のある人は非常に焦っておられ、アプリのインストール等がより手間に感じてしまいます。
なので、初診の方に行うというよりは定期的な診察が必要な再診の方にご提案している形です。

また、一部の在宅診療でもオンライン診療を活用しています。在宅の診察は外来に比べて患者さんの自己負担が高いので、軽度な状態変化に対し、都度訪問していては患者さんの自己負担額が非常に高くなってしまいます。こうしたケースにもオンライン診療が適していると考えます。例えば現在は、目が充血している(結膜炎や結膜下出血が多く、点眼液の処方にとどまる例)や皮膚がやや発赤している(軟膏処方や経過観察が多い例)患者さんなどにオンライン診療を実施していますね。

ーオンライン診療の導入は、患者さんへの説明や外来予約との整合性などハードルに感じる事もあると思います。 患者さんの負担を軽減するために工夫した点等あれば教えてください。

患者さんへの説明は工夫をしています。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは若い方が多いですし、ご高齢の方はご家族のご協力を仰ぐのですが、それでもアプリのインストールを難しいと感じる方はいらっしゃいます。
待合室で看護師がアプリについての説明をしたのち、別室で実際にテレビ電話が接続できることを確認してからお帰りいただくようにしています。
いきなりアプリで予約や診療を行おうと思ってもなかなか難しいとは思いますが、このように事前に一緒に接続テストを行うことで、安心して当日オンライン診療に臨んでいただく事ができると考えています。
また、ご家族の方がスマホ操作に慣れている場合、ご家族にアプリのインストールをしていただき、診察予約を代行していただいています。診察にも同席していただき、患者さんご本人とご家族とでお話しすることもありますね。
それが出来ない場合は、訪問看護師や当院看護師が患家に赴く体制も整えています。オンライン診療がうまくできなかったときの代替案を用意するというのも、患者さんの安心のためには必要と考えています。

外来予約との整合性は、そこまで難しくありませんでした。
対面診療の時には、患者さんは待合室でお待ちいただき、時間になったら診察室からお声がけをしてお越しいただくわけですが、オンラインの場合はご自宅でお待ちいただき、時間になったら私がアプリからお呼びするだけです。予約枠もオンライン診療用に設ける事はせず、患者さんにお好きな時間に予約していただくようにしています。
複雑な運用にしても患者さんが混乱してしまうかもしれないので、なるべくシンプルな運用を構築するように心がけました。

ー今、YaDocを導入してみての感想をお聞かせください

患者さんからの満足度は高く、満足しています。
私たちはオンライン診療を実施しても、お会計は次回対面診療時にまとめて行う事もあります。
YaDocは決済方法なども患者さんにあわせて自由に設定できるようになっており、柔軟な運用ができるのはありがたいですね。
また、コストが低いのもうれしいです。コストが高いと導入することが難しかったり、より多くの方に実施しようと考えてしまうものですが、安価なため、本当に必要な人に必要なだけオンライン診療を提案できるのは助かっています。

今後、在宅診療でもオンライン診療実施していきたいです。
訪問看護師との連携を行うことで、より綿密なケアが行えると考えています。
制度の事なども関わるので、政策の事も確認していながら、YaDocを使った他院の事例等を今後積極的に取り組んでいきたいと思います。

ー最後に、患者さんへのメッセージをお聞かせください

現在、コロナウイルスの感染拡大により、病院に行くこと自体が心配になることもあるかと思います。
慢性的な病気については、コロナウイルスの感染予防を行いつつ、しっかりと治療を継続していくことが重要です。
その中で、オンライン診療は感染予防と治療継続を両立させる良い解決策になると考えております。

風邪などの日々の体調不良はもちろん、慢性的な体調不良等もお気軽にご相談いただきたいですね。オンライン診療を組み合わせて、一緒に治療に向かっていければと思います。

かかりつけ医としてオンライン診療に取り組んでおられる数尾診療所の数尾展先生にお話を伺いました。
今後も、数尾先生の取り組みを通じて、かかりつけ医におけるオンライン診療について発信していければと思います。
数尾先生、ありがとうございました。

YaDocの導入、および臨床における利用は、各医療機関の医師の判断によるものです。

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